法事(ご供養)
~故人を偲び冥福を祈り、今現在の自分自身と向き合う~

 法事とは本来はお釈迦さまの教え(真理)やなすべき事柄を意味しました。次第に仏教行事を示すようになり、現在では特に「故人への供養を勤めること(追善供養)」を指しています。法事には「故人を偲び冥福を祈る」、「今現在の自分自身と向き合う」という大きな2つの柱があると考えています。故人を供養することは大切な仏教行事でありますが、同時に、供養する私たちが法事をすることで仏道を学び、つながりの中で生きる自己をかえりみることで今現在の自分自身と向き合っていく有意義な機会となっています。

 法事では、故人が来世でよい報いを受けるように、この世に残された者が食物や花をお供えし、読経などを通して仏法に触れ、善い行いの功徳を積みます。その功徳を故人に回(めぐ)らし向けること(回向(えこう))によって、故人が仏道を成就するように願います。

 同時に、「この人がいたから自分がいる」「この人のおかげで今の自分がある」というつながりを再確認して、今現在の自分自身を見つめ直す機会でもあります。何度かある法事の際に故人を思う時、以前と異なる新たな考えや感情が浮かんでくることもあるでしょう。それは故人という大切な方をきっかけにして、今現在の自分自身を見つめた結果としての気づきではないかと思います。

 故人を直接知る方は、故人からの学びをこれからの人生の糧としていきましょう。また、故人と直接のふれあいが無い方でも、大切なことを学ぶことができます。例えば血縁のお孫さんなどであれば、命のつながりに思いを巡らせ、生かされていることに感謝する機会となり得ます。もし故人がいなければ今自分はこの場に存在していない、生をうけていないという事実。これは命というものを考える重要なきっかけとなるのではないでしょうか。

 故人とご縁深き方々が一堂に会して現在の状況を見つめ、気持ちのつながりを深めていく。亡くなって時間が経過していないうちは共に悲しむだけの機会かもしれません。しかし時を経て心が落ち着くと、故人から得た学びを共有する機会にもなり得ます。故人が親類縁者同士のコミュニケーションの場、気づきの場を与えてくれていると受け止め、しっかりと準備をしてご供養に臨みたいものです。

法事にはお子さん・お孫さんを連れていきましょう

  先にも述べましたが、法事は小さなお子さんにとっても非常に意味のある学びの機会となり得ます。静かに坐って心身を落ち着け、命をつないできてくれたご先祖様に手を合わせる。自分の力で主体的に生きているようでも、周囲の様々な事柄に影響を受けて生かされていることに気がつきます。すると、周囲への感謝の気持ちを抱き始め、自分と同じように他者も大切にしようという思いやりの気持ちが育まれていくのです。

 何かとご多忙とは思いますが、小さなお子さんも是非とも法事に参加して、豊かな心を育むきっかけにしていきましょう。

法事の流れ(年回供養)

① 日程を調整する
生活環境の変化により参加者の日程調整が難しくなっておりますので集まりやすい日時に行えば良いでしょう。但し、本来、供養は故人の命日に営むものであり、早く行えば良いという訳ではないことは心に留めおいてください。ご希望の日時が決まったらお寺に連絡し日程の調整を行います。お寺の会館を利用して会食をご希望の際は早めの連絡をお勧め致します。
※前日にお逮夜(たいや)を営む場合も同時にお伝えください。
② 持ち物
・数珠
・お供物(果物や菓子など)
・本堂用の花一対
・お墓参り用品

※お膳を供える場合はお寺に事前に依頼するか仕出し屋に注文するなどしてください。お寺での法事にお膳を供えない場合でも命日には自宅の仏壇に供えるようにしましょう。
※塔婆はお寺で用意致しますので、法事のお布施の他に塔婆料をお包みください。
③ お墓参り
まず最初に、本堂や大代能化堂の前で仏様に手を合わせてからお墓に向かいましょう。お墓掃除は法事の前に済ませておきましょう。法事が命日に行われない場合でも、命日には可能な方だけでもお墓参りすることが望ましいです。

◎年回供養

  • ・一周忌(没後1年)
  • ・三回忌(没後2年)
  • ・七回忌(没後6年)
  • ・十三回忌(没後12年)
  • ・十七回忌(没後16年)
  • ・二十三回忌(没後22年)
  • ・二十七回忌(没後26年)
  • ・三十三回忌(没後32年)
  • ・三十七回忌(没後36年)
  • ・五十回忌(没後49年)

◎その他の法事

・水子供養(命を宿しても生まれることがかなわなかったお子さんのご供養)
・新たに求めたご本尊様、お位牌、お墓の建立・改修等に関わるご供養
・古いご本尊様や古いお位牌のお焚き上げ

★菩提寺を待たなくとも、臨済宗妙心寺派の「禅」に則った儀式によるご供養を望まれる方はご連絡ください。「来る者は拒まず、去る者は追わず」と自発性を尊重するのが禅宗の基本的な姿勢ですので、お気軽にご相談ください。